下着ドロへと走らせた思春期の屈折した性衝動(その2)

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下着ドロへと走らせた思春期の屈折した性衝動(その1)

下着ドロを注意した女

「ああいうのは、変態がすることよ。こういうの、癖になるわ」
女の手が微妙に強弱をつけて握った茎を圧迫する。意地悪に責めるような、そんな手つきだった。私は腰が抜けそうになり、謝罪の言葉も出なくなった。
「あなた、恋人はいるの?」
私は赤面して首を横に振った。
「女の子とセックスしたことはあるの?」
詰問するような低く押し殺した声にも、首を横に振った。すると女は、目に染みるほど真っ赤に塗った唇を小さくふるわせると、睨み付けるような強い目を、熱く濡らした。
「私があなたの悪い気持ちを消してあげるわ」
激情に突き動かされたかのような顔付きで言うと、私の足もとにひざまずき、勃起を口に含んで激しく舌愛撫をはじめた。
異性との交際もおろか、手を握ったこともない童貞の高校生が、いきなりそんなことをされて冷静でいられるはずがない。私は悲鳴も出せずにわななき、女の口の暖かさと根元をしごく手の心地よさに、またたくまに快楽の頂点に達し、精を放ってしまった。
当然だが、女の口内で放ったわけだ。吐き出すかと思いきや、彼女はしごき出すように手を動かして断続的に噴き出すマグマを一滴残らず吸い上げてしまった。
すべての精を絞り出された後、私はその場に崩れ落ちてしまった。
「女に興味があるんでしょ? そうでしょ? 男の子なら当たり前だわ、でもああいう汚らしいことは嫌いよ。あれじゃ変態だもの、私があなたの悪いところ、治してあげる」
打ちひしがれた気分でへたり込んでいた私の前で、女は水商売風の派手なジャケットとタイトスカートを、昂ぶる気持ちを隠せずに震える手で脱ぎ取った。胸元の大きく開いたブラウスも腕から引き抜き、まさかと見上げる私を思い詰めた目で見つめ返しつつ、下着まで林の薄暗がりのなかで取ってしまった。
脱ぎ散らかした衣服が、しどけなく雑草が茂った地面に散らばり、目前に立ちはだかっていたのは、透けるように白く、蝋細工を連想させる成熟した中年女の裸体だった。女の鬼気迫る様子に、恐怖心さえ抱かされる反面、体は激しく燃え上がり、股間に血流が集中した。
「恋人ができないから、あんなことするのよ。このままだと本当に変態になっちゃうわ。ちゃんと女の子を相手にセックスできるよう、私が女のこと、全部教えてあげる!」
声はうわずり、目には涙が浮かび、言っている自分自身に昂ぶているような女の様子は、異常者か何かにしか見えなかった。それでも目の前に露わになった裸体の艶めかしさは思春期の肉体には凶器も同然で、嗚咽をもらしてのしかかってくる豊満な裸体に、私は抵抗もできぬままに押し倒され、脱がされた。
恐ろしくて逃げ出したいのだが、体は正反対に興奮し、女の柔らかな裸体に何もできない。生まれて初めて触れた生身の女の素肌の暖かさに、私はすくみ上がってしまった。
「なにするんですか、やめてくださいっ」
なぜか泣きたくなり、声が震えた。
女は常軌を逸した目で、私の体を舐めまわし、愛撫の手を全身にすべらせた。体の上をのたくる裸体が、豊満な乳房から熟れた腹部までを押し付けて、再び股間へと舌を向ける。
恐怖感とは裏腹に燃え上がる肉体を、私は止められなかった。再び唇で愛撫され、背筋を鳥肌のような快感が駆け上り、雑草の上でもがいた。
口から吐き出し、玉袋から竿を舐めまわし、そしてまた唇で圧迫するようにして頭を上下に動かす。ウェイブのかかった長い髪が股間のくすぐり、顔を伏せて尻だけを突き上げた女の裸体の艶めかしい曲線が目を打つ。
女は唸り声にも似た吐息を鳴らし、自らも裸体を苦しげに波打たせつつ、私の股間に恥部を露わにして跨った。黒ずんで肥大した肉片がこぼれ出ているのが、火炎形の陰毛の下からちらりと見えた。ぬめぬめと熱い軟体動物の口のような穴に、私の性器は飲み込まれ、責められた。
女の慣れた淫戯の前に無知な体はひとたまりもなかった。腰を上下左右にねじるように動かし、ついには結合した状態でくるりと背を向け、大きな白い尻を私に見せつけて腰を動かした。

肉体で更正を強要され

ふくよかな巨桃が、尻たぶを小刻みに引き締め、朱色の肛門まで見せて動く様は、股間から伝わる肉筒の収縮とも相まって、私をまたたくまに二度目の射精へと導いていった。
それを察知したのか、女の白い指が根元の尿道をきゅっと押さえ、尻を上げた。最後は愛液でずぶ濡れになった勃起を手でしごいて発射させられた。
私は羞恥のあまり、気が遠くなった。女が射精の勢いに震える私の姿を、手を動かしつつ、慈しむような目で眺めていたからだ。
「どう、気持ちいい? これでモヤモヤした気持ち、晴れたでしょう?」
素直に首を縦に振れるほど、私は子供ではなかった。
なんでこんなことをするんだ……。
文句を言いたくても言えない、複雑な心境で、汚れた体をハンケチで拭おうとする女に、
「けっこうです」
と最後の意地で口を尖らせたとき、女がジャケットの胸ポケットから、一枚の写真を出して見せた。
古びた写真は見覚えのある写真だった。母に抱かれる赤ん坊だった私の姿を写したもので、姉からもらったものと同じ写真だった。
派手な化粧をした顔と、写真の若い頃の母の顔が、そのときになって、やっと重なった。
祖父母などは「男にだまされて病気になって死んだ」とまで言っていたが、もちろん私は信じてはいなかった。しかしながら、あの中年女が実の母だったとは、自分の鈍感さに頬が熱くなった。
「康利のことが心配でしょーがなかったの。こんなことしてごめんなさい、でもこうするしかなったの、ママのこと、バカな女だって思ってるでしょ、本当にごめんなさい!」
とたんに泣き崩れる母に、私は頭を混乱させながらも、一心に慰めの言葉をかけた。母という女性を知ったのは、それからだった。
仕事の関係で実家の近くまで来た折、姉と私の様子を見に来たところ、成長した長男が下着ドロをしていると知り、いてもたってもいられず、心より体が勝手に動いてしまったと母は言った。
今度ゆっくりお話ししましょう、と言う母と再び逢ったとき、母親という実感が持てぬまま、私の目は彼女の派手な服と一度肌で感じた肉体を視姦するように舐めてしまった。
すると母は、私の胸の内を見透かしたかのように思い詰めた目で言った。
「ママにまかせなさい、何も考えなくていいの、ここから先は、何も言わないのよ」
と運転してきたレンタカーに私を乗せて、国道沿いのモーテルに入った。
「康利に愛情をあげられなかったママには、大きな責任があると思うの。だからどんなことでもしなきゃいけないと思うの。こういうことだって……」
私ではなく、どこか自分に言い聞かせているような雰囲気で語り、母は私の前で全裸になった。
「生身の女のほうがずっと素敵でしょ、気持ちいいでしょう。下着より、こっちのほうが素晴らしいのよ、こうやって男と女は抱き合うの。康利もママを思いきり抱きしめて」
ベットの上で、感極まったように声を高める母の裸身を、下から抱きしめた。スレンダーとは言い難い、少し太目の裸体だったが、腰はくびれ、醜さは感じなかった。なにより手に感じる女の素肌のしっとりとねばりつくような質感に、私はこれが母の肉体だという実感を抱けぬまま、彼女の手慣れた感じの愛撫に身を任せてしまった。
母は男を悦ばせる術を熟知していた。ベットに横たわる私を、首筋からつま先まで、全身を使って愛撫した。豊満な乳房で下腹部を押し包むようにして、器用に竿を谷間に押し埋めて圧迫し、肩を揺すって擦る。私はそれだけで射精してしまうが、母は怒りもせず、汚された胸元から頬を、
「元気が良いじゃないの」
と微笑みながらティッシュで拭い、また愛撫で快感を目覚めさせてくれた。そして自分でやってごらんなさい、と自ら太腿を開き、女の恥部を露わにした。
考えてみれば、そこは自分が生まれ出てきた部分なのだ。私はいくらかの嫌悪感を抱きつつも肉体の昂ぶりに従い、母の重い腰を抱えて正常位で挿入した。
あお向けになり、両脇にたわんでしまう大きな乳房の張りの無さにふと目がとまる。ひしゃげたような黒く肥大した乳首が、普段こっそり書店でめくるポルノグラビアのモデルたちのそれとは、明らかに違うことに気付く。母の年齢は三十後半のはずだ。
「いいわ、そうよ、最初はゆっくりでいいから、焦らないでオチンチン動かしてみなさい」
優しげな声が胸に刺さった。母が意図的に下腹に力を込め、肉筒を収縮させていると気付く。私はなんとも言えない気持ちのなか、腰を動かし、母の喘ぎ声を聞いた。
「すごいわ、立派よ、ああ、感じるわ!」
芝居じみた声で、それが経験のない私にも真意でないと分かったが、肉体は女の内部の快感を受け止めて感度を上げていく。
母の乳房を両手で揉み立て、ぎこちない腰振りで、私は果てた。
当然だが、最後の瞬間だけ、爆発を察知した母に竿の根元を指で押さえらえて、体外発射に誘導された。
「ママ、何もしてあげられなかったこと、本当に後悔してるの。だから、これくらいのこと、ちっとも苦じゃないのよ」
行為の後、母は目に涙を浮かべ、感極まったように言った。私はただ頷くだけで、手を強く握る母に戸惑いを感じ得なかった。情熱的に愛の奉仕をする母と、いつになっても気持ちのレベルで通じ合えないでいた。
実家近くまで来た仕事というのは、車で30分ほどの観光ホテル内のキャバレーでの期間雇用のホステスだと聞かされた。ちょうど行楽シーズンという季節だった。
三ヶ月半ほど、私は母と関係を持った。母の方からレンタカーを借りて学校の近くまでやってきて、私を誘った。
母が「なんでも言って」と言うので、私は再会を心から喜べない自分を認めつつ、母から教えられた快感を求めた。驚いたのは、母がまるで罪の意識も感じていない感があり、口では「こういうことは悪い事なんだけど…」とは言うが、ベットで私を愛撫するとき、化粧の濃い頬に幸せそうな笑みがあった。
祖父母と馬が合わず、家を飛び出したこと。以後の波乱に満ちた人生までを、数人の男とのラブストーリーまで絡めて母は遠くを見るような目で語った。肉体の昂ぶりとは反比例して、私は会うたびに母という女性への冷めた思いが大きくなっていくのを意識した。
「ママだって女の子だもの。やっぱり愛されたいのよね」
母は息子の前にもかかわらず、夢見る少女のような目でよくそう言った。軽蔑すべき大人の一人だったろうが、どうしても祖父母や父のように憎みきれなかった。それは母親という絶対的な存在の大きさのためだろうか。
何度も抱き合ったのに、一緒に暮らそう、とは最後まで言わず、はじめから、そんな言葉は胸のどこにもなかったように思える。
「絶対また逢いに来るわね」と涙にむせびながら別れを告げたものの、以後、母が直接、私のもとに訪れたことはない。
大学入学で大阪に出てから二年ほど過ぎた頃、実家にいた姉から「ママがこっそり逢いにきた」と連絡をもらった。私の居所を教えたというが、電話はかからなかった。
今頃、あの人はどこで何をしているのだろうかと夢想する。家を飛び出したように、見知らぬ男の家を渡り歩いているのだろうか。
あれほど幸せという言葉を繰り返していた母が、自ら不幸を選んでいることにも気付かない、あまりに薄幸な女性に思えてしかたないのだ。
母のことを思うとき、私のなかではすでに過去の人になっていることを、あらためて実感するのだった。

マダムの浮気癖

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