どぶっと潮吹きが生じ
「どうしたんだい、おまえ、急に……」
「いや、仕事仕事で、まとまった休みを何年も前からずっと取りたいと思っていながら、なかなか取れなくて……」
その夜、一人で車で帰省した息子は、風呂上がりのビールをうまそうに飲みながら、私が作った手料理を口に運び、
「うーん、旨いや。アイツがもうちょっと田舎料理ができたらなあ……母さんの作る煮物や漬け物は絶品だよ」
「一人で帰ってくるなんて、母さんも、そりゃ嬉しいけど……何かあったの」
「ふふ、そうくると思った。でも、残念でした。何もない。女房も、おれが仕事に追いかけられてばかりいるものだから少しは心配してくれてさ、ちょうど親父の出張にからめていっそ、たまにはお母さんとゆっくり親子水入らずでバカンスとってらっしゃいと、ね……」
「本当に……夫婦の危機とか……孫の明は元気なのかい」
「元気すぎて困るくらい。おばあちゃんの所にパパと一緒に行くか、と誘ったんだけど、ママと一緒がいい、というよりいまはお友達と遊ぶほうが楽しいみたいで、学校も楽しそうに行っている」
「そうかい、半分は淋しいけど、元気でなによりだよ」
行動派の息子は、同じ県内の有名温泉地の旅館にもう私と二人分の予約を済ませていました。
「な、母さん、温泉は好きだろ」
「好きよ、でも悪いわね。おまえの気持ちが嬉しいから、費用は母さんがみんな出してあげる」
「バカいうなよ。テレビ局は、下らない仕事が多いけど、給料だけはバカ高さ」
「そんな、視聴者をバカにしたいいかたするもんじゃないわよ」
「でも、事実だよ。出版社とか新聞社とか、活字に行った友人たちと違って、テレビの人間は本当に文化意識もジャーナリズム精神もない。ないのが大半だよ」
「おまえもテレビ人間でしょ、ふふ」
「そうさ、だから、下らない連中のことがよく分かる。中にいてね。国の行く末とか、なんとかこの国の、政治の恩恵を受けられない弱者とか貧しい者たちを救ってやろう、そのための仕事を公共の電波を通じてやろう……なーんてことを考えてるのはテレビ界で少数派。ほとんどが権力にベッタリ。いやになるよ」
「おまえ、疲れているのかい」
「はは、母さん、おれはすこぶる元気。心配はいらないよ、少しもね」
「そうかい……」
「そうさ。ただ、不義理してたから、たまには母さんに親孝行したくなったんだよ、いまごろに……ごめん、母さん」
「いいんだよ、おまえが久しぶりにきてくれただけで母さんは嬉しいよ。業界のことは分かんないけど、母さん、おまえと久しぶりに二人っきりで、それもおまえと温泉旅行だなんて……嬉しいよ」
「母さん……いまでも好きだよ。母さんは、いまも変わらず、きれいだ……」
グラスをテーブルに置いて向かいから私を見る息子の目に、そのときなんだかいいしれぬエロスの匂いを私は嗅いだ気がしたのです……。
その予感は、次の日の夜、ゆったりと久しぶりに温泉に漬かり、食事をすませ、一つ部屋に親子水入らずで布団を並べて寝たときに的中しました。
「……母さん、もう寝た……?」
「……」
起きていましたが、なぜか急に身体が硬直し、声が出ませんでした。
そんなことはありえない、私のただの先走った妄想だ……と思うものの、私の心のどこかで長く忘れていた熱い胸のときめき、甘いドキドキ感が急にいきなり私におそいかかったのです。
いや、このまま眠ったフリをしていれば、息子もあきらめて寝てしまい、そして私もやがて眠りに沈み朝がくる……。
そう、不安と期待と希望と絶望みたいなおもいが交互に押し寄せる中、必死で理性を呼びもどそうとしていたときでした。
「……ごめん、母さん……」
小さくつぶやいて息子が、隣りの自分の布団からのっそり起き出した気配が私に伝わったのです。
「……ッ」
ギクリとして私は思わず叫びそうになり、声をのみこみました。
のみこんだときに喉が鳴った気がして、それが息子に聴かれたのではないかってむしょうに気になったのです。
そのとき、息を詰めていた私の耳に、前は上流に近い川が流れていて、その川の水の流れの音が飛びこんできましたが、でもすぐに消えました。
私の布団の足元に回りこんだらしい息子が、なにをしているのかとそちらへ耳をそばだてると、どうやら浴衣とその下のものを脱いでいる気配なのです。
「なにを……なにをする気なの……」
そこで起きてしまえば、私の歴史は変わりました。いえ、以前と同じだったのでしょう。
でも、できませんでした。
息をひそめて私は、息子が次にするだろう行為を、大きな期待と少しの不安とともに見守ったのです。
もう夏が始まっていました。
旅館は由緒ある老舗の建物で、室内はどこも、だから私たちの部屋もちょうど良い加減のクーラーが、暑くも寒くもない程度の心地よさでみたされていました。
なのに私は、下半身を中心にジワリと汗がにじみ出し、風呂上がりみたいに全身が火照ってくるのを感じていました。
息子がゆっくりと、どうやら真っ裸になったらしいのを目を閉じたまま知り、私は心がおののきました。
緊張と興奮が頂点に達しそうになったとき、赤ちゃんクジラのミニ潮吹きにも似た現象が下腹部に生じていたのです。
大股びらきの淫ポーズで
浴衣の下は、寝るときいつもそれが日々の習慣で、Tシャツだけ着てブラジャーは着用していませんでした。
むろんパンティは穿きますけれども、ブラジャーは圧迫感を覚えて、職場の町役場で机に向かっているときは着けていますけれど、寝るときはノーブラ。
友人が、そんなことしたらおっぱいが垂れやしないといいましたが、いまでも私の胸は20代のギャルじゃないですけど張りはあって形もくずれておりません。
格好を気にしてのことではなく、ただリラックスしたかったからですが、その浴衣のTシャツを突き破らんばかりに双つの乳首が痛いほどツンツンと尖り勃っていたのです。
乳房がパンパンに張り、両の乳房もしごきたいほどそそり立ち、いえ、それよりも、先ほどのミニ潮吹きが、それも一度ならず二度も不連続的に起こったのです。
山での事故を起こす前に夫が、いつか悪友から借りてきたという「潮吹きビデオ」なる作品をセックスする前に一緒に観せられたことがありました。
が、あれって、私はヤラセというか、信じちゃいなかったのですけれど、自分の軽いケイレンすらいま生じている女のすぼまりにそれが生じて認識を改めていました。
こんな異様な場面において、なお私をどこか安心させていたのは、避妊の心配がいらないからだに私が変わったという事情です。
そろそろ、もうぼちぼち……と自分にブレーキをかけようとしてかけられなかったのは、もしも万一、息子のあのものが私の中に入れられてしまって、激しく男性的行為をされて、そしてそして息子が若さに負けてドピュッドピュッと勢いよく、それはシャワーのような大量のものを私の中にぶちまけてきたと仮に仮定しても、もし仮にそうなってしまったとしたって……。
と、あれこれ想像というか妄想というか、思い巡らせている途中で、
「母さん、いま行くよ……」
着衣をすべて脱ぎ去ったらしい息子が私の足元から私の布団の中に、いかにも忍びやかな感じでのっそりとすべりこんできたのです。
そして、頭だけ突っこんだところで、私の両の足首を静かに、でも強い力で掴みました。
(ああ、勇一ってば、それ以上は、ね、それ以上はいけないってば……)
心の中で叫びながら、催眠術にでもかかったみたく私の心とからだは硬直しきっていました。
そのくせ心臓はパクパクしつつも、息子の両手が汗でぬらぬらに濡れて火照っているのをエロチックに感じました。
両の足首がちょっと持ち上げられ、少しずつ左右へ広げられます。
つれて浴衣の裾も徐々に左右にはだけられ、天井の照明は豆電球がついていましたが、布団の内部は暗く、懐中電灯でも使うかまくられない限り暗いまま。
浴衣の裾をおなかのほうまでまくられはだけられて、パンティを見られたら、下ばきの中心がヒワイな形に恥液で濡れているのがバレてしまったでしょう。
それが息子の目にさとられないという安心も、私の決断を鈍らせた原因の一つかもしれません。
下ばきを着けたままの私の白い股を時間をかけて広げきると、息子はどうやら腹ばいになって上昇し、私の両膝を下から抱えこむようにして下ばきを着けたままの私の……股間にそっと口を押しつけたのです。
「……ぐ……ッ……ッ」
大きな声を噴きこぼしそうになり、私は慌てて歯をぐっと食いしばりました。
一瞬でも気をぬこうものなら、緊張も理性もガタガタといっぺんにくずれてしまいそうな気がしたからです。
息子が鼻を近づけ、くうーんくうーんと下ばきの中心部からたち昇る女の媚臭を嗅いでいるのが分かりました。
嗅ぎながら鼻先が濡れた部分にふれ、もしかして息子は私の下ばきの内側がほとんど洪水に近い状態だと気づいていたのではないでしょうか。
そう思ったとき、目を開いて起き上がり、息子を蹴飛ばして布団から逃げ出す自分の姿が一瞬まぶたの裏に浮かびましたがそれは現実のものにはなりませんでした。
しかし、私からパンティを脱がせるためには、もう一度私の股を閉じ、簡単とはいかないひと手間かかる作業を息子はしなければなりません。
腰を持ち上げられ、両足首を片っぽうずつ時間をかけて脱がされるとき、私が眠ったまま気づかないのはおかしい。
膝をそろえられ、ヒップのパンティに手がかかったときこそ、私が自然な感じで目がさめたとばかりに起きるのが良いと思いました。
さすがに最後の理性が残っていましたし、もう7年も男を受けていない花園、息子であれ夫以外の誰であれ、すっかりトビラは閉じてしまって、サビついちゃって……すぐには門は開かないと思っていました。
心の用意と準備期間が多少なりとも必要だと思ったのです。
ところが、息子のとった次の行動により、すべて予定を裏切られてしまったのでした。
私の股を広げたまま息子は、あろうことかパンティの横っちょを反対側へはだけ、そこに口をつけてきたのです。
(わっ、変態)
叫びそうになりぶるるっと武者震いをひとつした直後、30男になった大人の息子にふさわしい口戯がひとしきり情熱的に展開されたのです。
(そこ、あはは、そこそこ、か、感じる感じる、駄っ目えッ……感じちゃう)
心でわめきながら、奥歯がギリギリと鳴るくらい激しく歯を食いしばり無意識に声をのみこんでいたのです。
「父さんからみんな聞いたよ。父さんが登山中のケガがもとで、もう母さんとは夫婦生活ができなくなって久しいこと、母さんも今年メンスがなくなったから、老けこまないうちにうんと母さんに孝行してやってくれ……と、親父のやつ、自分が海外出張中に母さんを温泉にでも連れていってやってくれって、また子供や嫁にうまいもんでも食わせてやれって、ふふ、30万もおれの口座に小遣いだって振り込んでくれたんだ、むうむう」
気がついたときには、私はパンティを巧みに奪われ、下半身を赤ちゃんみたいにスッポンポンにされ、あんな嵐のような激烈なクンニリングスは夫には一度もしてもらったことがありませんが、強烈すぎて意識をしばらく失うくらい感じまくっておりました。
「ゆっくりいれるから、痛かったら母さん、遠慮なく痛いっていってくれよ……そう、れえ……うっ……そうれ、そうれ……うっうっ、母さん、きつい、きついよ、痛いから……」
久しぶりに男根を挿入されなくたって濡れそぼった女陰をくちびると舌と指でさんざっぱらいつくしんでもらえたら、それだけで十分に感じられるし絶頂感も味わえることを、私は息子によって教えられました。
夫が、ボッキしないからかわいそうだと、いつしか私のほうから求めなくなっていましたが、それは私のエゴであり、なにかに雑誌の医学記事に、中高年の男は、ボッキしなくたって射精もできるしそれ以上に、夫婦や恋人同士の愛情さえあればセックスも可能だと書いてありました。
それは、愛する女性が快感に悶えたり満足すれば、それは十分に男の喜びであり満足でもあるんだと。
そのために男たちは、妻や恋人である女の愛がある限り、なにもペニスに頼らず手や指や、唇や舌や、場合によっては人工の性器やオモチャや野菜や化粧びんや……補助道具もいくらでもあると書いてありました。
目が回るくらいの若々しくたくましい息子の充実根を迎える以前に、久しぶりのそれも素晴らしく魅力的な口戯をふるまわれて私は、夫との今後の性生活にとっての大いなるヒントをもらった気がしたのです。
そんなものですから、息子の血管さえ浮かべて堅くいきまいたファロスを迎えるとき、もうなんのためらいも困惑も、そして後悔もなく、そればかりかむしろ積極的かつ大胆な心持ちになって、
「こうちなったら勇一、母さんをうんと歓ばせておくれ、楽しませておくれ、ううん、わけわかんないくらい乱れに乱れさせておくれな、お願いだから」
「母さん、まかせてくれ、休暇中、母さんの一生分くらい楽しませてあげる」
夫が見たら卒倒しそうなくらい淫らで大胆な大股びらきポーズで息子のはちきれんばかりに猛りきった分身を迎えると、期待と興奮で早くも気が遠くなってゆくのを感じました……。