奥手娘の将来を案じて男を紹介した父親。初めて感じた胸の奥に息づく娘への思いが、傷心旅行の温泉宿で爆発し…三十路前で快楽を知らない豊満な裸体を味わう…。
(告白者)
長野敏治(仮名・57歳)
愛娘を幼少から溺愛し
私にとって、初めての子が長女の絵美でした。下の二人の兄妹よりも、やはり初めてできた子供ということもあって、妻に甘やかすなと怒られるほど可愛がったものです。まさに猫かわいがりというほどの溺愛でした。
そのせいでしょうか、下の弟と妹より精子的に弱いというか、性格的にも内弁慶で、人見知りも強いようでした。
女の子として異性と接するのをためらうのは父としては嬉しいのですが、年頃になっても恋人一人もできないのは、それはそれで複雑なところです。
見合いなどとかしこまったものでなく、職場の仲間の知人で、前々から見知っていた独身のサラリーマンを紹介したのが一年前のことでした。真面目で物静かな32歳の男で、酒もギャンブルもだめだという今時珍しい堅物さが気に入ってのことでした。
男にうとい娘には、彼のような堅物がお似合いなのではないかと思った私の期待通りに交際を始め、それがまもなく結婚を前提としたものになりました。嬉しいような寂しいような心境ですが、毎晩笑顔で彼と電話でお喋りをする28歳の娘の姿を見るにつけ、私の頬にもしぜんと笑みが浮かんでいました。
下の二人はとうに結婚して家を出ているのに、長女の絵美だけが20代後半になっても家にいるのは世間体が悪いと妻は言いますが、私の本心は、いつまでも手元に置いておきたい可愛い娘でした。
幼少期から私にべったりで、中学1年生になるまで、一緒にお風呂に入っていました。妻にいい加減にしろと止められて入浴はやめたのですが、絵美のほうは、なぜいけないのだと不満顔でした。肉感的な妻に似て、小柄でぽっちゃりとした体型だった絵美は、小学5年生のときからブラジャーも着けるようになっていたので、風呂に入るのを止めた中学1年生のときには、すでに胸などは大人の女性に負けないほどまん丸に膨らんで、下腹部のあたりにはちらほらと産毛のような陰毛も生え始めていました。
娘のほうから一緒に入りたがって、それに応じていたのですが、さすがに子供とはいえない体つきになってきた時期には、可愛い我が子といえども、裸体を前にすると妙な気持ちになったものでした。
色づき始めた二つの蕾が、日に日に芽吹きの季節へと近づき、ふっくらと隆起する。それが胸の膨らみとともに娘の体を女らしいカーブに変えていくのを、中学1年生になるまで見届けた父親など、そうはいないだろうと思います。
交際も丸一年が経ち、絵美も29歳という大台に近い年齢になり、いつ結婚をするのかと気になっていたころ、彼氏との関係がご破算になりました。
理由は彼に以前から交際している女性がいたことで、事実上、彼に騙されたわけで、これには私も怒り心頭で、直接会って抗議をしたのですが、開き直って男女の仲に親が口をはさまないでくれなどと言う始末。怒ったところで紹介したのは父の私です。人を見る目がなかったと悔やむばかりで、娘に辛い思いをさせてしまった愚かな自分を責めました。
「気にしなくていいよ、あたしだって、彼があんな人だったなんて、見抜けなかったんだから、お父さんには何も責任はないのよ」
謝る私を、いちばん辛いはずの娘が優しい声で励ましてくれて、これには情けないですが、涙が出ました。
父の私が言うのは心苦しいのですが、傍目には容姿もあまり良くない女の子でしょうし、チヤホヤされた経験もなかった子ですから、恋人に騙されても悔しがるより自信を失うほうが大きかったようでした。
妻は下の妹みたいに適当に遊んで男に慣れておけばいいのだと女としての意見を言い、励ますどころか呆れ顔です。お父さん子で小さい頃から私にべったりだった長女には、意見はあっても同意するところはない、という感さえありました。
確かに、私と長女の絵美は、家のなかで二人だけの仲良し親子でしたし、なにかのきっかけがあれば、おかしな道に迷い込んでも不自然ではなかったのかもしれません。
事が起きたのは、娘が有給休暇を使って週末に4日連休を取り、失恋の励ましにと温泉旅行に連れて行った初日の晩のことでした。
はっきり言いますが、その瞬間が来るまで、私は娘と肉体を結ぶなど、一度も考えたことはありません。発育していく体を浴室で見せられて、妙な気持ちになったことはありますが、娘だからそう感じただけのことで、ふしだらな思いなど心のどこにもなかったことだけは自信を持って言えます。
都心から小一時間でいける温泉地で、高台にあるそれなりの宿泊代を取る高級旅館でした。部屋がすべて戸建ての離れになっており、高台の斜面に戸建ての部屋が木々のなかに点在しています。手入れをされた木々が、程良くプライベートな空間を保つ趣向で、親子二人の傷心旅行にはもってこいのロケーションでした。
私たちが傷心旅行なら、そうでもない客もいるわけで、それが隣の離れの客でした。男は50半ばで私と同じくらい、同伴の女性は30半ばほどの派手な感じの婦人で、どうも夫婦ではなさそうで、訳ありカップルというところでしょうか。個々の離れはそれなりに距離を保っているのですが、カップルのあの声が離れのなかにいる私たちの耳にも飛び込んでくる始末で、それが食事を取った後から、夜中まで続くという激しさです。
「ありゃ不倫カップルだな」
「こういう場所だから、お忍びで色んな人がくるんじゃないかしら…」
はじめのうちには冗談も言えましたが、声はますます大きく、艶めかしくなるばかりで、なにかと思って窓から外を見ると、離れのウットデッキのところで野外の興奮を愉しんでいるカップルの姿が目に入り、私も娘も言葉を失ってしまいました。ウットデッキの柵に両手をついた三十路熟女を、出っ張ったビール腹を揺らして男が突きまくっているのですから!
どうやら露出プレイでもしているつもりのようで、木々の狭間から見える二人は、わざと声を出して、オマ○コが締まる、チ○ポが気持ちイイ、と獣的な叫び声を上げています。熟女の豊満な裸体が男の突き込みでたぷたぷと波打ち、部屋の明かりの照らされたカップルの病的な表情が、私の目を釘付けにしました。食後、酒を酌み交わしていた娘も、ただでさえ赤らんでいた頬の色を濃くして、もう唖然と隣の離れの様子を見つめていました。
一度は部屋に戻り、おかしな人たちがいるものだと酒盛りの続きになったのですが、いつまでも聞こえる声に会話は途切れがちになり、それも娘のほうが男女の声を強く意識していた感があり、無垢な少女のようにどうしてよいのかわからないという様子でした。
私が知る限りですが、あの男を紹介する以前に、娘に親しく交際した男性は一人もいなかったはずで、それまでに男性経験があったかどうかもあやしいところでした。
いつまでも続く激しい声に気分を出してしまった様子の娘を前にして、私もつられて体の奥を熱くしていました。
少女のような娘の反応と、恋人に裏切られて落ち込んだ姿が重なり、最近めっきり母に似て太目になってきていた29歳の長女が、抱きしめたいくらい愛おしく思えて仕方なかったのです。
娘も一人の女で、満たされないものを抱えて悶々としている。私はその娘の女の一面に、父親という立場を度外視して、気分を出してしまったのでした。結婚を勧めておきながら、この子を誰にも取られたくないという思いが胸にあったのも事実です。
何年ぶりかに枕を並べて床に就いた夜、ときおり聞こえてくるカップルの激しい声に寝付けず、寝返りばかり打っている娘を、
「こっちにおいで…」
と私の布団に引き入れました。壁の小さな常夜灯の明かりが、娘の赤らんだきりの頬を照らし、潤んだ瞳がすがるように私の胸に顔を埋めました。絵美の早鐘のような鼓動が私の鼓動と重なり、思わず強く抱きしめると、浴衣の下の豊かな裸体が感じられて、拒むどころか、ふうん、と切なげに鼻を鳴らして幼い頃のように私にしがみついてくるではないですか。
私の頭はのぼせあがったように正常な判断力を失っていきました。
29歳の成熟した肉体が、私の胸のなかで吐息をくゆらせてうねっていました。浴衣の上から大人の女に成長した体を確かめていくと、なおのこと吐息を乱して、私の胸に熱い息を吐きかけます。
私は震える手で浴衣の前を開き、するりと肩から引き下げると、淡い明かりのなかで脇腹を下にして横たわっていた娘の乳房が、片側にたわんだ形でこぼれ出ました。