母さん、出ちゃうよ
母は、一人息子のおれのことはもちろん、父のことも愛していた。
父との離婚など考えたこともなく、Nとの再婚など、それ以上にありえない話だった。
なぜなら、Nには妻子があり、そんなつもりで二人はつき合っていたわけではなく、ただ単身赴任中という似た者同士、利害と性欲が一致したにすぎなかった。
「信じてくれないかもしれないけど、N先生とそういうことは……一度きりなのよ」
「そういうことって、どういうことさ」
「いわせないで、意地悪しないで、お願い」
「いやだ。母さんがちゃんといわないと、分かんないぜ」
「そんな……だから、セッ、クス」
「セックス?」
「そ。セックス、よ」
「母さんは、ウソをついてる」
「ウソじゃないわ、本当、本当のことよ、お願い、信じて」
「ウソだ」
「ウソじゃないのよお。彼のマンションのお部屋に行ったのも、本当にあのときが初めてだったの」
「一回だなんて、ウソだ」
「信じて。ウソじゃない。初めてなのよお」
「そのことじゃない」
「え!?」
「三時間も一つの部屋に二人きりでいて、イッパツだけだなんて、誰が信じると思う?」
滝のようにこぼれる涙を、母の手で拭われたとき、愚息が急に勢いを失った。
が、また話がそこに戻ったとき、再び母の濡れた蜜沼の中で、おれの分身は勢いを取り戻していた。
「そ、それは……」
「ほらね。正直にいいなよ、母さん」
「……」
「な、一回だなんて、ウソだろう。他のことも信じられないよ」
「違う。その意味で一回といったんじゃないわ」
回数のみならず、おれの頭の中は再び、あの男と母との、回数よりもうんとワイセツな行為の妄想に移っていた。
おれのような若くて青い単純なセックスプレイじゃなく、性経験豊かな二人は、見るのもはばかられるような数々のイヤらしいプレイに溺れたのではないか。
「くそっ、くそっくそっ、母さんのウソつき、それそれッ」
恥骨がヘコむどころか、つぶれるほどの烈しいピストンを打ち込むと、
「あわわっ、ゆるして、滉一、母さんを……わわっ、わっははは、す、すごいすごい」
会話の中身もどこかへ置き去りにし、母は夢中で下からしがみついてきた。
それこそ、両腕両脚を下からおれにしがみつかせてきたといってよい。
加えて、愛液が飛び散るほど濡れそぼった母のその部分が、きわめて悩ましいほどの緊縮力にみちてきた。
おれの抽送ごとに、濡れた肉ひだが生きものにも似てうごめき、ごっそりペニスにしがみついてくる感じだった。
「母さん、ダメだ、ああ、我慢できない、出るよ、出ちゃうよ、中に……出ちゃうよお」
おれが限界を訴えて情けない声を出すと、母もクライマックスが近いのか、しかめっ面でうんうんと首をタテに振った。
そのサインを目にして、おれは下半身をひきつらせた。
「行く、行くよおッ」
短くいって、大量の精を長々と母に放っていたのである。
「ああっ、あ、あ、あ、あああああ……」
母も白く形のいいアゴを反らせ、長い語尾の歓声をこぼしてエクスタシーにまみれていったのである……。
翌日の昼少し過ぎ、母はおれの目の前でヤツに電話した。
「ごめんなさい。ケータイの着信記録や、あなたからのメールの記録を息子に見られてしまったの。ご近所の知人にも、あなたと親しく一緒にいるところを見られ……ね、夫ももうすぐ帰国するし、いままでのことはすべて忘れて。お願い。ごめんなさい。もう二度と連絡しないで……ええ、ええ。さよなら、ごめんなさい」
母がケータイを切ったあと、おれは念押しのつもりで、白いレースのカーテンを引いた居間のソファーの上で母を強引に抱いた。
「ね、彼とは、もう終わり。でも、滉一も、母さんとはこれきりにして。お願い」
「その代わり、昨夜の質問に答えてよ」
「なに?」
「しらばくれても駄目さ。三時間ものあいだに、ヤツと何パツやったのさ」
「そんな、また……お願い、もう……」
「答えないと、なんべんでも母さんを……」
「いう。正直にいう、二回よ」
「たった二回? ほれ。またウソをいう」
「さ、三回、そう、三回したわ」
「ポーズは?」
「フツーのと、バッと、ああ、母さんが上になって……お願い、もうもう」
とうとう観念したかのように白状した母は、自白しながらヤツとの交悦がよみがえったのか、パンティーを奪うと、そこはぐっしょりしていたのである。
ぐっしょりしていたことに、若く単純なおれはいいようのないジェラシーが込み上げたのである。
自分でも困惑するほどビクビクといきまいたヤケドしそうに火照った肉砲を、辛抱できずに母に打ち込むと、昨夜以上に母はみずから積極的にしがみついてきた……。
両親の情交に嫉妬
「母さんのべべコって、外見はピンク色のアワビに似てるけど、中はそれこそミミズとかタコとかいろいろ棲んでいるみたい」
「そんなバカなことばっかりいって。おまえもおませになったわねえ」
「母さんのべべコがいけないんだ」
「いやだよお。なに、べべコって」
「おれが自分で考えた造語。女のおまんちょのことさ」
「やだよお、母さん。知らない!」
フェラチオしてくれている母の耳たぶがポッと朱色に染まったのが新鮮だった。
梅雨シーズンの始まる前に帰国した父は、一週間滞在してまた海外へ出かけていった。
その間、二人はおれが家にいるあいだは、ナニゴトもなかったようにふるまっていたが、おれが外出中に熱烈に愛し合っていることは明らかだった。
父が帰国して三日目だったか四日目に、塾に着いてすぐ携帯パソコンを家に忘れてきたことに気づき、慌ててわざわざ家に帰ったとき、窓のカーテンを引いた二人の寝室から、母の悩ましい喘ぎ声がこぼれてきた。
仕方なくおれは塾に戻ったのだが、母と清算するつもりでいた気力がみるみるペシャンコにつぶされてしまった気がした。
父に申し訳なく、心苦しくもあったが、Nではなく、今度は父への許されざるジェラシーと対抗心がメラメラ燃え上がり、消しがたくなったのである。
父を駅まで見送った日の夜、イヤがる母をほとんど手ごめ同然に再び奪ってしまったのだった。
「母さん、おれ、もう他の女の子たちじゃ、ちっともよくないんだ」
「そんなこと、母さん、困る、困るわ」
いいながら、しかし母は途中から、本気でまた陰部をしたたらせ、おれの分身をやるせないほど甘く締めつけて、おれを夢中にさせたのである。
母子の約束
自分でいうのは下品だが、塾の教師となって、生徒の小学生や中学生たちの若い母親の何人かから誘惑があった。
まだ三十歳前後の母親とすれば、半分は自分の子供可愛さのために、講師のおれに色気を振りまいたといったところだ。
それで母とああいう関係になる以前と、以降も、何人かの母親と肉体関係を引きずっていたが、母のセックスの魅力を上回る女がいないのは確かだった。
「ねえ、母さん、父さんが帰国するまで……ね、おれとは、そういう関係でどうだい?」
一対のふくろ、そしてサオのあちこちにこまやかな舌戯をくるめかせてくれる母を、上から見降ろしながらいうと、
「滉一ったら、バカなことをいうよ」
いったん口をはずして、下からおれを甘くにらみ、今度は亀頭の先っちょからずっぽりくわえ、しゃぶる。
しゃぶりながら、なお舌をあちこちうねらせるのが、えもいえぬ快感だった。
父がいなくなってから、いつしか出勤前、夜とは別に、しばしばフェラチオしてもらうようになっていた。
「うう〜ん、ああ、母さんとこうなって、おれは他の女性関係は全部清算したんだよ、ああ」
そう口から出まかせのウソをいうと、母は不意に口をはずし、
「そんなこと……でも、父さんが帰ってくるまでって、本当に約束できて?」
「うん。だって、母さんは父さんのものだもの……」
そのセリフが口からポロリと出ると、なんだか感傷的な気分にとらわれ、思わず自分の表情が曇るのを意識した。
「それは……そう。だって、父さんと母さんは夫婦だもの……それは仕方ないわ」
「うん、そうだね……」
答えると、まぶたの裏に、父の優しい顔が浮かび、罪悪感のゆえか、ジュニアが文字通りしょげそうになった。
その感触を手指で確かめながら、今度は母が挑発的な顔に変わって、
「でも滉一は、本当に父さんが帰ってくるまでの間だけって約束できる? 本当に守れる?」
「う、うん。場合によっては、そろそろ家を出て、独立しようと思ってる」
それはまるきりウソではなかった。
「ふふ、母さんね、やっぱり父さんが帰ってくるまでって……辛い。長いんだもの。一週間とか一カ月ならともかく……だからといって、N先生とは、もう……」
「そんなこと、させない!」
「滉一」
「な、なんだい」
「母さんにもキスして。だって、滉一、とても上手になったんだもの」
煽情的な目に変わった母は立ち上がって、スカートを穿いたまま上体を丸め、パンティーを脱ぎ捨てていた。
おれが座っている長椅子に寝そべり、肘もたせに頭を乗せると、ゆっくり仰臥しながらみずから長い両脚を徐々に折り広げていたのである。
「うん、うんうん、喜んで……」
母のスカートをまくると、ハート型のヘアーの茂みが現われた。
その下のピンク色の、形のいい二枚のふっくらした肉びらが心なしか震えていて、すでにじんわりと甘露がにじんでいる。
「きれいだよ、母さん」
「ありがとう。母さんも、正直にいうと、滉一のペニスに夢中よ。でも、だけど、ね、本当に父さんが帰るまで」
「うんうん、分かってる、約束するから」
床に膝をつき、両腕で母の太ももを抱え、母の女体の中心へ顔を近づけてゆく。
エロチックな芳香がぷんぷん放たれ、うなだれていた愚息が一気に立ち上がってきた……。
母とは、いまでは新婚夫婦顔負けなくらい毎晩、惜しみなく愛し合っている。ときどき、母に圧倒されているのが実情でもある。