顔も覚えていない母との再会が私を狂わせた(その1)

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物心ついた頃すでに家を出ていた母親に密かな憧れを抱いていた思春期の私は、悲しい現実から逃れようとまだ見ぬ母を理想の女性像に作り上げた。しかし本当の母は幻滅するほど淫らで奔放な女で…。

(告白者)
川本智彦(仮名・32歳・会社員)


不良少女のような母…

私には母の記憶がなかった。
まだ物心つく前に家を飛び出したとだけ父から聞かされた。祖父母からは「ろくな女じゃない」とも言われた。
父や祖父母から聞く母は、子供を捨てた最低の女という否定的な情報で統一されていた。
父が処分したのだろうか、母の写真は一枚もなかった。思春期の頃の私は、そんな母親にも甘い想いを抱いていた。
あの頃、すべてが暗黒だった。
校内暴力が荒れ狂う時代、学校ではイジメに遭い、家では父の事業がうまくいかず、定期的に借金取りが家のドアをノックした。
口を開けば愚痴ばかりの祖父母に、苛立たしげな父。明るい食卓など幼い頃のかすんだ記憶のなかにあるだけで、家の中は常に暗く沈んでいた。
現実はあまりに醜く、希望が持てず、家でも学校でも嫌なことばかり。幼い頃から小さな灯のように心の奥で揺れていた密かな母への憧れが、そんな救いようのない現実から逃れる唯一の手段として私のなかで密かに育っていった。
きっと母が、いつか私を連れ戻しに家のドアをノックするはず。この苦痛ばかりの現実から、私を救い出してくれるに違いない——。
そんふうに、妄想に近いほどの思い込みをしていた。
友達もいない寂しいイジメられっ子が、ただ一つ、明るい未来を見いだせるのが、まだ見ぬ母だった。記憶がなかったからこそ勝手な理想を作り上げる障害もなく、いつしかそこが苦しい現実から逃避する聖域のようになっていった。
思春期の複雑な時期、胸に隠していた母への想いも、複雑に屈折し、そして肉体と一緒に大きく成長していった。ちょうどその頃、家の周囲で不審な女を目にするようになった。ヤクザが乗るような外車に乗り、派手な服装をしたサングラスの女だった。
家の裏手に車を止め、まるで誰かが出てくるのを待っているかのように車の前で煙草をくゆらせている姿を、二階の勉強部屋からそっと覗き見たことがある。
父の仕事関係の債権者にしては派手過ぎたし、愛人がいた気配もない。年齢は三十後半という感じだったが、生活臭を染みこませた中年女ではなかった。
私が暮らしていた街は、いわゆる新興住宅地で、山林や田畑を潰して急造したため交通の便が悪く、いまひとつ活気のない町並みだった。商店街は遠く、家より空き地のほうが多く、住宅街というには閑散とした景色だった。
家の裏手の空き地と山林が広がる砂利道に、何度か車が止まっているのを見たことがあり、そこには口紅がついた煙草の吸い殻がいくつも落ちていた。
少し行けば町並みが途絶え、古くからの農地と山林があり、チカン注意の看板がそこかしこに立てられている。自転車で高校まで通学していた私は、近道に使っていた暗い農道で、あの外車の女に声を掛けられた。
「ちょっと道に迷っちゃったんだけど…」
媚びるような笑みを浮かべてサングラスを取った女に本能的な警戒心を覚えた。
「道、教えてくれないかしら?」
運転席から地図を開いて私の顔を覗き込んでくる化粧の濃い顔が、学生服の少年の警戒心を悟っているかのように、精一杯の笑みを浮かべ、甘い声を出す。
「このあたりで、鈴木さんっていう家あるかしら?」
「え、鈴木って、うちも鈴木ですけど…」
「ああ、もしかして、運送会社の鈴木さんの家かしら?」
「は、はい……」
私が怪訝そうな顔をすると、女はじっと目を覗き込み、少し焦れた感じに、
「そこの家って、奥さんいる?」
「いませんけど……」
「じゃあ、君のお父さん、まだ独身なのかしら?」
ただ眉を寄せる私に、とうとう女が舌打ちして言った。
「私のこと、わからないの?」
それが母の名乗りだった。
親の顔を忘れ、気付かない息子に幻滅したように彼女はため息をついた。後になって、写真が一枚も残されていなかったと私に教えられ、苦々しげに父を罵っていた。
「せっかく会いにきたのに、なんだか気持ちがブルーになっちゃうわよ」
大人げないほどあからさまに舌打ちしていた母だったが、私の胸は憧れの存在に会えた喜びで埋め尽くされていた。
「前から気になってたの、いつか智彦に会おうと思ってたんだけど、なかなかこっちも色々とあってね」
暗い農道に止めた外車のなかで、父と二人でお宮参りする赤ん坊を抱いた母の写真を見せられた。無造作に大きな財布に押し込まれていた写真は、折れ跡がついて汚れていた。
「あのジジイたち、まだ健在なの?」
「あ、うん、元気だよ」
母はまた舌打ちして、
「あー、家まで行かなくて良かった、アイツらの顔見たら、気分が悪くなる」
優しい聖母のように想像していた母はまるで別人だった。
派手に染めた髪と胸元が大きく開いた服。言葉遣いを含めて漂う下品さは、学校にいる不良少女のようで少しがっかりしたが、父たちを憎らしく思っているところが、私のなかに密かな共感を抱かせた。この退屈で嫌なことばかりの田舎町と、そこに存在するすべてを、母は嫌っていた。私と同じように現実を憎んでいたのだ。
「それにしても、相変わらずパッとしないところね、まだたいして家も増えてないし」
居場所を聞いたところ、母は二ヶ月ほど前から隣町に引っ越してきたと教えてくれた。それまでは東京にいたのだが、訳あってこちらに戻ってきたので、気になって家の様子を見に来ていたという。この再会の日から、私は母と頻繁に会うようになった。
夜の仕事をしているとのことで、詳しいことは私も子供ではなかったので聞きはしなかったが、どうやら水商売をしているようだった。小さな幻滅を感じながらも、私の胸にある希望の灯は消えはしなかった。この母に希望を託さなければ、すべてが暗黒の闇なのだから…。
初めて自転車で小一時間かけて中心街のマンションに遊びに行ったとき、母から家を出た経緯を聞かされた。祖父母たちと馬が合わず、自分の味方になってくれない父に絶望してパート先で知り合った男と駆け落ちしたのだという。
「あたしだって、何歳になっても女でいたいの、この気持ち、もう智彦も子供じゃいからわかるでしょ?」
東京での男との甘い生活から失恋、それから知り合い、恋に落ちた数人の男たちとの恋愛ストーリーから挫折までを、母は甘い目で思春期の息子の前で語った。
母の想いに共感したわけでもなく、理解したわけでもなく、ただすべてを受け入れることで、私は少しでも母に近づき、気に入られようとした。
大人の事情などわかりもしないのに、そうだね、そう思うよ、と頷き、母の笑顔を得ようとした。
この退屈で辛い毎日から救い出しくれるのは、この夜の商売をする派手な中年女だけだと確信的に思い込んでいた。だから私も、母に辛い胸の内を吐露し、同情の言葉を聞こうとした。
「智彦も色々あったのね、辛い思いさせちゃったみたいね…」
酒臭い息で母が抱きしめてくれたとき、私は涙が出そうになった。ただ母は、その時々によって、優しい顔を見せたり、苛立たしい目をするときがあった。
仕事柄、酒に酔っている日もあり、もとが感情の起伏が激しい性格のようで、連絡を入れずに部屋を訪ねたとき「今日は体調が悪いから…」と面倒くさそうに追い返されたこともあった。
何度かそんなことがあり、母への思いが焦れた感情に代わったとき、その事件は起きた。

顔も覚えていない母との再会が私を狂わせた(その2)へ続く

マダムの浮気癖

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